クラブから手紙

昨日クラブから手紙が郵送されてきました。A4両面の1枚紙とはがきでした。A4裏表には、以下の文章が、

平成17年3月15日
横浜FCクラブメンバー各位
(株)横浜フリエスポーツクラブ
株式発行に向けガイドラインの改定について

平素より横浜FCに対しまして、ご支援をいただき、厚く御礼を申し上げます。
クラブは、次のとおり横浜FCのJ1昇格に向けて「株式割当のガイドライン」を改定したいと考え ておりますので、ご検討の上、アンケートにご回答いただきたく、お願いいたします。

着実な財務改善
クラブは今期、赤字体質からの脱却を確実なものとしつつ、新たな成長に向けた基盤の強化を図りま す。第5期(平成14年12月〜15年11月)は、クラブ設立以来初の黒字と増資を進めた結果、債務超過が解消されました。しかし、第6期は営業年度の変更(従来の12月〜翌年11月を2月〜翌年1月に)に伴い、チームがオフの2ヶ月間(平成15年12月〜16年1月)の短期決算を組んだことで、赤字が生じ、再び債務超過になりました。前7期(平成16年2月〜17年1月)の収支は経費抑制に努めたことで現在の推計で黒字を見込んでいます。今8期(平成17年2月〜18年1月)も広告収入増が見込めることで黒字を予測しており、債務超過の縮小とバランスシートの健全化に向かっています。

J1昇格の条件
Jリーグは昨年6月、J1への昇格条件を経営面からの審査基準を規定しました。その第一条件は「直近の決算期において実質債務超過であるJ2クラブは、原則として昇格を認めない」とあります。加えて、J1に昇格した場合、入会金6千万円、会費4千万円(J2の会費2千万円)が必要になります。それらがクリアできなければ、たとえ、チームが今期末、J1昇格の成績を収めても昇格は認められません。そのために、クラブは早急な対策をとる必要があります。クラブは今期、負の遺産清算する「守りの改革」から新しい成長基盤をつくる「攻めの改革」へ転換を図ります。具体的には、一層の経費の絞込みなど経営改革の促進と資本増強でJ1昇格に備えていきます。

クラブの株式割当のガイドライン
クラブは、平成12年に「株式割当のガイドライン」を、平成13年に「株式会社横浜フリエスポーツクラブの株式について」を設定しました。そのガイドラインには①原則として個人株主は設けない②300万円を超える株主は設けない。などと謳っています。これは横浜FC設立の経緯において、みなさまがもっとも心を痛めた一部の株主の決定による「チーム消滅」という悲劇を二度と起こさないために設けられたものです。もっとも、これは指針であり「チーム消滅」の歯止めとなる法的拘束力をもつものではありませんでした。その後、クラブは平成14年、多くのクラブメンバーの方々に支えていただくために種類株式(クラブメンバー株式)を発行しました。この種類株式は利益配当請求権残余財産分配請求権のほか、営業譲渡、合併、解散に関する議決権を有するものです。クラブの登記簿謄本には種類株主総会の決議を要する事項に関する定めとして「当社の営業譲渡、合併、解散については株主総会決議のほか、種類株主総会の決議を要する」(平成14年9月10日登記)とあります。つまり、クラブメンバー株式は、「チーム消滅」をクラブメンバー株式総会の決議により阻止することが出来る制度として、ガイドラインをさらに一歩踏み込んだ形として制度化したものです。一部の株主の決定による「チーム消滅」という事態には、クラブメンバーの一人ひとりの意思がクラブメンバー株主により構成される種類株主総会を通じて法的に反映されるのです。これにより、クラブは、「ガイドライン」の上記条項はクラブメンバー株式の発行により当初の役割を終えたと判断しています。

株式割当のガイドラインの改定
クラブは今期、J1昇格を目指す「攻めの改革」を進めるにあたり、クラブを支える多くの方々から出資を募っていきたいと考えています。しかし、現在の「ガイドライン」は「攻め」に転じるうえでの障害になりかねません。経営者の中には、クラブの理念に賛同し、支援したいと思うが、企業として出資するのは難しく、個人的に支援をしたいという人がいます。また、クラブを全面的に支援したいとして多額の出資を希望する企業や個人の方がおります。しかし、そのような方々に対しては、「ガイドライン」の存在をご説明し、お断りせざるを得ない現状にあります。前述したとおり、チームがJ1に昇格した場合、入会金及び年会費だけでも1億円が必要となり、これを新たな出資により賄おうとすれば、300万円を出資していただける企業を、現在出資していただいている企業とは別に34社以上を募集する必要がありますが、それはかなり難しいのが実情です。このように、出資者を法人に限定し、その出資額の上限を300万円と制限してしまったのでは、クラブの現状からすればJ1昇格の条件を財政面からクリアすることは、現実には困難であると言わざるを得ません。しかし、チームが成績ではJ1昇格の条件をクリアしたが、財政面での条件がクリア出来ずJ1昇格を見送られる事態は、なんとしても避けなければなりません。そこで、クラブとしては、チームのJ1昇格に備え「株式割当のガイドライン」「株式会社横浜フリエスポーツクラブの株式について」を発展的に解消し、出資者を法人のみならず個人にも拡げ、出資額の制限を撤廃し、資本増強のための普通株式の新株発行に備えるとともに、普通株式の発行により法律上許される種類株式の発行枠が拡大する等種類株式の発行条件が整えば、現在クラブメンバー株式を持たないクラブメンバーの方々にもクラブメンバー株式取得の機会をつくっていきたいと考えています。
つきましては、現在の「株式割当のガイドライン」をみなさまにご相談し決定したときと同様に、新しい「株式割当のガイドライン」についても、みなさまのご意見をアンケート形式(別添のハガキ)でお聞きしたいと考えています。お手数ですが、別紙のハガキに賛否をご記入の上、ご返送ください。

<現行の「株式割当のガイドライン」>
(1)原則として個人株主は設けない
(2)300万円を超える株主は設けない
(3)ソシオ持株会以外の株主は法人格を持つ法人ソシオ会員を前提とする
(4)地域に密着した企業活動を行い、社会的にも信用でき、ソシオの精神を遵守するもの
(5)原則として株式の売却は認めない

<新「株式割当のガイドライン」改定案>
(1)横浜FC設立の理念に賛同する法人及び個人であること
(2)スポーツに理解のある法人であること
(3)横浜FCクラブメンバーであること
(4)地域に密着した企業活動を行い、社会的に信用できる法人及び個人であること
(5)原則として株式の売却は認めない

添付のはがきには、以下の文章が、

「アンケート」
「株式割当のガイドライン」を解消し、下記の新しい株式割 当のガイドラインを定めることをご承認いただけますか。
※下記のどちらかに○を付けてください。
(承認する)(承認しない)

<新しい株式割当のガイドライン
(1)横浜FC設立の理念に賛同する法人及び個人であること
(2)スポーツに理解のある法人及び個人であること
(3)横浜FCクラブメンバー会員であること
(4)地域に密着した企業活動を行い、社会的に信用できる法人及び個人であること
(5)原則として株式の売却は認めない
以上
※別途、ご提案等ありましたらご記入ください。
会員番号      氏名
※3月31日(金)必着で、ご返送ください

というものです。

横浜FCフリューゲルス佐藤工業の経営撤退に起因する、ANAマリノスとの合併という選択肢を端緒に発足したクラブであるという経緯がある以上、クラブ創設時から、株式割り当てのガイドラインとして、個人株主の禁止と、300万円を上限として大株主の独断専行を避けることによってチームの再消滅を避けるという方針を貫いてきたのは、当然のことでもあります。

ただ、そのガイドラインがあり、さらにクラブメンバー株式を発行するに当たって、営業譲渡、合併、解散について株主総会決議以外に、クラブメンバー株主総会の決議なしには決定してはならないという足かせも設けています。つまり個々で既に二重の足かせを設けていることになり、クラブの財政基盤をしっかりする上に当初のガイドラインは1社辺り300万円までしか出資してもらえない、もっとお金を出して積極的にクラブをサポートしたいという思いを持つ企業さんを排除してしまう結果にもなってしまいます。また、クラブの財政問題を端緒として、ソシオとクラブとの間で悲しい諍いがあったのもみんなの記憶に新しいところです。
しかしそこに降って沸いてきたのが、昨年6月に決まったJ1への昇格条件です。

1.J1に上がる時点の決算期において、赤字であるクラブは昇格できない
2.J1に昇格するには入会金6000万円と会費4000万円の計1億円が必要になる。

現行のガイドラインに沿った上で、1億円を増資するためには、300万円の株主を34人募る必要があるのは、引用文にあるとおりで、これは実際問題うちの営業から見るともう限界を超えた数字であると思います。看板スポンサーやその他のサポーティングカンパニーを増やせばいいと言う意見もありますが、これは所詮一過性のモノで、クラブとしての財政基盤が危ういものであるという基本は変えることが出来ません。
現実的にJ1が見えてきたときに、財政面がネックとなってそれが認められないと言う事態は避けたいのがクラブとしての当然の考え方です。

しかし現実的に今はほぼトントンで若干の黒字という昨年度決済、さらには決算期を変更したことによって現状では若干の赤字が計上されています。
そこでクラブは、ガイドラインを発展的解消し、300万円の条項を削除して、それ以外については、内容を変更しないという案を出してきて、クラブメンバーに同意を求めてきました。

これが、今回の経緯であると考えています。
伏線には何かあるのかもしれません。LEOCが袖スポンサーに決まったときに、クラブ買収の計画があるのでは、と一部でささやかれたことがあります。しかし、たとえば新しいガイドラインによってある企業が株式の過半数を握ることになったとしても、それを北海道に移転したりすることについては、足かせをはめることが出来ると思います。
湘南が序盤から走っているのは、着実な強化と、地域に密着した営業活動もあることながら、7億円といううちから見ればうらやましい予算規模を建てて、J1への道筋を明確にしたことにあると思います。

ぼくたちもJ2で永久にのんびりと戦っているのではない限り、どこかで現実路線へ転換する必要があると思います。
フリューゲルスがなくなるときゲルトは「誰でも良いから助けてくれ」といいました。僕らも誰でも良いから、チームを残せるように助けてくれ、と思っていたはずですし、その思いが、ボクらの手で横浜FCを立ち上げる力になったと思っています。

そこから更に一歩進んで約束の地・J1の舞台に変えるために、協力したいという企業があるのならば、それを甘んじて受け、クラブはJ1への道を進むべきだと思います。
そう思ってぼくは、はがきを昨日のうちにポストに投函しました。「一緒にJ1に行きましょう」と、意見の欄に書いて。
横浜FCのサポ、クラブメンバーの中でも温度差のある問題だと思います。あくまでも横浜に根ざしたサポートを求めるとき、大企業に出資を仰ぐのは危険だと思う方がいても当然だと思います、みんな自分で考えて、クラブはこういう道を歩くべきだと思う道を歩けるような判断をすればいいと思います。


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