J1第19節 鞠公戦@元横浜国際

横浜は中断明け最初の試合をアウェイ横浜国際でマリノスと戦い、信じられないミスと、相手の悪質なファールにより狂ったゲームプランから惨敗。といいたいところですが、ゲームプランはともかく、マリノスのJ1クラスのプレスの素晴らしさにレベルの差を感じてしまった試合でした。

鞠公 8(2-0)1 横浜

  • 19:00キックオフ 横浜国際総合競技場 入場者数:
  • 得点
    • 鞠公 大島(30分、65分、72分、88分)、坂田(44分)、山瀬功(51分、74分)、山瀬幸(62分)
    • 横浜 平本(82分)
  • 警告
    • 鞠公 マルケス(28分)、河合(53分)
    • 横浜 西山(71分)
  • 出場選手
    • 横浜 GK菅野、DF山田、早川、太田、和田、MF奥(63分 西山)、呉、パウロ、滝澤(75分 玉乃)、FW難波(44分 チョ)、平本。 <サブ>GK小山、DF小野、MF吉野、根占
    • 鞠公 GK榎本、DF田中、中澤、松田(67分 栗原)、小宮山、MF吉田、河合(72分 上野)、山瀬、マルケス(HT 山瀬幸)、FW大島、坂田。 <サブ>GK飯倉、DF那須、FW清水、ハーフナー

敗因は、信じられない守護神のミスと悪質なファールで失ったFW。
そう思いたいのですが、実際はそうではない。勝とうと言う気力、ボールを失わないんだ、ボールを奪うんだ、点を取るんだ、という気迫の面でも、技術の面でもマリノスに凌駕されての当然の点差だと思います。

前半序盤なんとか持ちこたえていたものの、マリノスのボールを奪ってからの速攻、そして前線からの激しいプレスに全く付いていけていない印象でした。
横浜はボールを奪えても、プレーの呼吸が合わずにやすやすとマリノスにボールを奪われる始末。特に和田のプレー選択、クロス精度は目を覆うばかり。右サイドに張った奥もブーイングに臆したか後ろ向きのプレーに終始し中盤で全くゲームが作れない展開が続きます。

難波の高い打点のヘディングや、平本の中盤でのタメから攻撃を作ろうとしますが、彼らを追い抜いていこうと言う選手がいない。これを奥が担わなければいけないんですが。
かといってマリノスが苦手なはずのロングボールからの展開もなく、パウロと呉を全く生かせないままいたずらに時間がすぎていきます。

そして30分、スローインからのプレーで、試合開始から目立っていた吉田が右でキープして後ろに戻したボールを河合がアーリークロス、このボールを普通のスゲなら当然キャッチするところですが、これをなんと右にこぼして大島が頭で押し込みマリノスが先制。信じられないプレーでした。

その後は横浜もボールを持てる時間がありましたが、マリノスの高いライン設定に平本、難波がオフサイドの山を築き、緩い中盤がこの2人を見殺しにします。
32分には山田の右からのアーリークロスを真ん中でどフリーで奥が受けますが、トラップが大きくGKがキャッチ、最大のチャンスをみすみす逃します。
33分にはマリノスのお株を奪う前線からのプレスで山瀬兄からボールを奪った難波がこぼれに詰めますが、一瞬追いつけず。

そして40分に衝撃的なシーンが。これまで何とか前線でプレーを作ろうと奮闘していた難波。奥のインターセプトから呉が前に送ったパス。このボールに反応してラインを見て一度スピードを緩めた難波に対し、後ろから迫ったマリノス田中が追い抜きざまに右エルボー。
これが難波のアゴに決まって、ピッチに崩れ落ちる難波。しかし審判は全く笛を吹きません。難波は治療を続けましたが44分、そのままピッチに戻れず。下顎骨折で全治2〜3ヶ月の重傷を負いました。
口から血を吐いてピッチにうずくまる難波に容赦なく浴びせられる鞠サポのブーイングがなんともやりきれなかったですね。

そして、難波の治療中、ヨンチョルがピッチで交代を待っていたのですが、プレーが切れず、10人で戦っている間にルーズボールを坂田がエリア外から太田の股を抜いてシュートこれが決まって横浜は0-2とリードされて前半を終わります。


貴重な交代のコマを前半で投入せざるを得なくなった横浜。後半はイマイチ機能していなかったダブルボランチを縦に配置して事態を打開しようとします。
しかし追加点はまたもマリノス
51分小宮山のマイナスのクロスを山瀬兄が冷静に決めて0-3。これでマリノスはますますノリノリ、横浜はますますうろうろといったピッチ上の按配に。

通常のゲームプランであれば、FWを投入して前掛かりに行きたいところですが、たった1人のサブFWだったヨンチョルはすでにピッチ上。しかもポストプレーヤーではないヨンチョルでは前で起点が作れずにボールを前に出してもすぐにマリノスにボールを奪い返されて、カウンター。
中盤をダイヤモンドにしたことでバイタルがすかすかとなり、62分には田中のシュートがクロスバーに当たった跳ね返りを最後は山瀬弟がミドルを突き刺し0-4。

ここで横浜は、プレースキックでもオンプレーでも消極的で効いていなかった奥に代えて西山を投入。いつもながら奥をなぜ使うのかわかりませんが、今日は奥だけが悪かったわけではありませんでしたね。
その後もマリノスの勢いは止まらず、65分には左サイドで粘り強くマイボールをキープした小宮山が放ったロングシュートのこぼれを大島が押し込んで0-5。最後まであきらめない小宮山のプレーは敵ながら見事の一言。
72分大島がエリア内で振り向きざまに決めて0-6、74分山瀬弟のクロスを坂田がスルーして山瀬兄が真ん中で決めて0-7とピッチを意思を持って走り回るマリノスがうろうろし続ける横浜を翻弄し続けます。

横浜は82分玉乃のスルーにラインを抜け出した平本が意地の一発を決めますが、ここまで。
88分には田中の右クロスをファーで大島がボレーで決めて1-8として試合終了。


とにかく、明確に走って走ってプレスプレス、無理目のパスでも前に前にという明確なコンセプトを高いレベルの選手が実行するマリノスに対して、ボールを持ったらどうするか、という約束事があまりにも少ない横浜。この差は現時点では大きいと言わざるを得ません。

しかし、この差を埋めなければJ1残留はありません。
今日の試合、奥、和田は使えないことがはっきりしたと思います。
パウロ、ボムソクはしっかりとフィットすれば、チームになじみそうです。機能する戦力は使って、ダメなものは切る、そうしないと取り返しが付かないことになってしまいます。

最後に、鞠公・田中の故意の肘打ち*1であごを砕かれ、下顎骨折で全治2〜3ヶ月の重傷を負った難波について。
がんばれ難波!シーズン終盤必ずお前の力が必要になる。
その時には是非、ピッチに立っていてくれ!

さて採点です。

  • 菅野 4.0:余りにも衝撃的なシーンだったファンブル。あれで試合が決まったようなもの。これで腐るようなスゲじゃないと信じているからあえてこの点数。
  • 山田 4.0:不用意なキープからボールを奪われることが多かった。
  • 早川 4.5:相手の前線からのプレスに苦しんだ。
  • 太田 4.5:スピードで完全に負けていたのは残念。
  • 和田 3.5:プレー選択、クロス精度、田中に手も足も出ないDF、すべてにひどかった。
  • 奥 3.5:絶好機を逃したプレー以外に前を向いたプレーがあったか、エリア直近から最終ラインまでボールを戻すのは勘弁。
  • 呉 4.5:周囲との連携に課題を残した。
  • パウロ 5.0:呉と同様だが、ボールキープには光るものを見せた。
  • 滝澤 5.0:疲れたが、サイドの選手では一番まともなプレーを繰り返していた。
  • 難波 5.5:これからというところで残念。しっかり治して帰ってきてほしい。
  • 平本 5.5:90分走り続けてくれた。平本を生かせないチームですまない。
  • チョ 5.0:何とかチャンスを作ろうとしていたが、前線で起点にはなりきれず。
  • 西山 4.5:戦略の犠牲者、役割がはっきりせずに持ち味が出せず。
  • 玉乃 5.5:奥よりよっぽどいい。
  • 監督 4.0:ヨンチョルしかFWを入れなかったのは軽率、とはいえ難波の怪我は予測不可能でもありました。それよりも問題は奥をなぜ使うのか、和田を小野よりも使う意味がどこにあるのか、ということ。

次節、甲府戦。細かいパスをつないでくるチームに対し、ボムソク、パウロのドイスボランチは非常に重要なポジションとなります。ここでボールを奪ってからの組み立てと、サイドへの散らし、そして2トップへのボールの入れ込みとそれを追い抜く動き。そういったストーリーから考えて行くと、アツの出場は難しいでしょうから、
GK スゲ
DF ヤマタク、ハヤ、コースケ、トモキチ
MF 玉乃、パウロ、ボムソク、タッキー
FW 平本、ヨンチョル(カズ)
で行くしかないのが現状でしょう。
久保、シウバはどうなんでしょうね。

*1:ハユはフリューゲルス生まれ、言いたくありませんがあえて言わせてもらいます。うちの宝をぶち壊しやがって、ゆるさねぇぞ糞野郎