涙が出た

まだ、ARBが終わったとは思っていない自分がおります。ほとんどのARBファンがそう思っているでしょう。
というわけで、ひさびさにカセットテープを引っ張り出してきて、ARBを車中で聴きながら通勤帰宅したのでした。
事務所に作らされたお仕着せのイメージのままデビューした1979年の「A.R.B」と、1981年、KEITHが胆石で入院しているときに、製作された4作目「指を鳴らせ!」。この1枚だけKEITHがドラムをたたいていないのだ。

A面とB面の間には、白浜久が加入した86年の秋にビクター・インビテーションが日比谷野音で開催したイベントに凌さんと白浜久が参加したときのカセット録音がダビングされてた。「After45」と「Daydreamer」でした。「Daydreamer」はシゲルの超速オルタネイトピッキング爆発の曲で高2当時よく練習でコピーしていました。

それぞれのアルバムの中で耳に残ったお気に入りの曲ですが、デビューアルバムは、エンマのキーボードがピコピコ言う中、やはりデビューシングル「野良犬」のフレーズが耳に残りました。

「野良犬」
今夜も俺ら野良犬 暗いビルの谷間で
あの娘に 愛が届けと 月に遠吠えてる
狭い箱に入れられ 鎖につながれて
俺らと同じ月を見て 涙流すのか

吠えろ!お前も喉が裂けるほど そしたら 今すぐ 連れ出す
吠えろ!お前も悲しいほどに 野良犬も そんなに悪くない

いつも話し相手は 壁にうつる影さ
いつかは 鎖ちぎりすて 奪って 逃げてやる

吠えろ! お前も 牙を向けてやれ そして 今すぐ 駆け出せ
吠えろ! お前も 淋しいほどに いつでも 俺らの 胸にこい

ARBやラフィン・ノーズに夢中になった高校生のころ、ぼくにそこから連れ出して欲しい現実があったとも思えない、今となれば楽しい時代だったけれども、この曲に反応したのはやはり、その時は連れ出して欲しい世界だったんだろうか、「野良犬もそんなに 悪くない」と一緒に口ずさんだら、つい涙が出てきた。

4枚目のアルバム「指を鳴らせ」は当時貧乏高校生だったぼくが、なぜかカセットではなくアルバムで持っている作品。たしか阿佐ヶ谷の古道具屋さんで買ったんだ。
このアルバムの中では、映画にもなった「さらば相棒」も良いけど、やはり「Standing On The Street」。

「Standing on the Street」
裏通りで群れを成して つっぱっていた野郎も
今じゃネクタイばっちり締めやがって
なんでもやつらの思い通り

1・2・3で家を飛び出し 1・2・3で会社が終わる
毎日毎晩 同じあのパブで 女に愚痴をこぼしている

Standing on the Street 自由を感じている
Standing on the Street 一瞬だけど
フェンスにもたれ 表通りを眺めている

街ではちょっとした顔役で つっぱっていた女も
今じゃ色気も どこかへ消えちまい
何でも子供の思い通り

洪水のような人ごみには 能面のような連中ばかり
週刊誌に目をやりデート本を離さず
急ぎ足で通り過ぎてゆく

Standing on the Street 自由を感じている
Standing on the Street 一瞬だけど
フェンスにもたれ 表通りを眺めている


電車はレールを外してしまいタクシーはメーターを振り切った
バスはガス欠でパトカーが飛び出した
ねずみが犬を追いかけてる

Standing on the Street 自由を感じている
Standing on the Street 一瞬だけど
フェンスにもたれ 表通りを眺めている

Standing on the Street 自由を感じている
Standing on the Street 一瞬だけど
フェンスにもたれ 表通りを眺めている
表通りが眠りにつく

この曲を聴いているときぼくはいつも凌さんが隣にいてフェンスにもたれて表通りを眺めている気持ちだった。やはりろくな世界じゃない、逃げ出したい、逃げ出してやるって思ってたんだな。