2012年の10冊

2012年は164冊の本を読みました。

昨年の221冊には及びませんでしたが一昨年の147冊よりは多く、平年並みの読書量でしたね。
今年初めて読み始めた作家さんには「のぼうの城」の和田竜、「シティ・マラソンズ」の短編からあさのあつこ、「銀輪の覇者」の斎藤純、「武士道シックスティーン」の誉田哲也の4人。
和田竜、誉田哲也あさのあつこは本当に読まず嫌いという感じだったのですが、読んでみたらやっぱり良かった、という印象です。

そして昨年の年末に読み始めた近藤史恵桜庭一樹有川浩の本もたくさん読みましたね。
その中から10冊を選ぶのはかなりの苦行ではあるのですが、シリーズものはまとめるなどして何とか10タイトルを選び出しました。


1. 「武士道シックスティーン〜武士道エイティーン(三部作)」誉田哲也
香織と早苗の剣道部でのそれぞれの3年間を1年ずつ描いた3部作。青春モノのイメージの少ない誉田哲也ですがこの作品で初めて結構青春小説を出していることを知りました。
武者から武士へ。
ちゃんばら剣道から武士へ。
それぞれの成長をみずみずしく描いた本作。本当に楽しく読みきりました。


2. 「永遠を探しに」原田マハ
型破りな「新しい母」がいきなり現れて主人公が一度は捨てたチェロを「自分のチェロ」として取り戻してゆく物語。
いくつもの秘密があり、どんでん返しと涙ポロリが楽しい小説でした。


3. 「決起!コロヨシ!!2」三崎亜記
「コロヨシ!!」の続編。再び「出逢った」樹と偲が「掃除」を更なる高みに押し上げていきながら、大きな謎に立ち向かう、前作同様の楽しい小説でした。
第三弾も楽しみです。


4. 「舟を編む三浦しをん
言葉という海に乗り出すための舟、辞書を作り出すためのまじめくんの真面目な人生と辞書という舟を編むことの大切さを初めて知りました。
何かを作り上げていくことは本当に尊いことです。


5. 「ハブテトル ハブテトラン」中島京子
中島京子初のジュニア小説ですが大人にも読み応え十分でした。
10代前半の早熟な恋と、割と複雑な人間関係、そして尾道今治の景色。
読み終えたらしまなみ海道を走りたくなるに違いない小説です。


6. 「塩の町」有川浩
デビュー作にして陸海空シリーズ最終作。
ラノベとして出版され、大幅に加筆修正された前半部と、その前後を綴った短篇集からなる作品ですが、書かれた年のギャップを感じさせないバランスの良さで大人のラノベとして楽しめました。


7. 「旅屋おかえり」原田マハ
様々な事情で旅することの叶わない人の思いを旅先に伝え、そして何かを旅先から持って帰ってくる。
それでお客様を幸せにする旅屋。こんな職業があれば本当に面白いと思います。
主人公「おかえり」が旅の中で、依頼人とともにココロを通じ合わせながら成長していく姿もココロが暖かくなる名作でした。


8. 「一刀斎夢録」浅田次郎
明治維新を生き延びた元新撰組斉藤一が語る戊辰戦争から西南の役までの不安定な日本の姿。
わくわくしながら読みきりました。

9. 「ゴッホは欺く」ジェフリー・アーチャー
出所後初となる長編ミステリー。
その腕はいささかも衰えなく、スッピーディかつスリリング二条玄関を一気に読ませます。
スカッとする読後感も相変わらずです。


10. 「赤猫異聞」浅田次郎
浪人、無宿人、遊女。
身分は全く違いながら外の世界に因縁の残る囚人と牢役人。
江戸から明治へ移り変わってゆく狭間での混乱の中、己の武士道を貫き通した一人の男の話としてとても楽しく感動して読みました。


次点は「フリーター、家を買う」有川浩、「ルーズヴェルト・ゲーム」池井戸潤